journal

find your kyoto Vol.1 「京都はここから始まった」 将軍塚青龍殿

2023/05/25

2020年秋、京都に移住した俳優の近藤芳正さん。それまでは、撮影のために呼ばれて来る場所だった京都が生活する場所になったことで、街のとらえ方にも変化があったと言います。国内外からやってくる旅人の笑顔が溢れ、以前のような賑わいを取り戻した2023年の春。満開の桜に囲まれた東山山頂の名所『将軍塚青龍殿』で、京都にまつわるお話を伺いました

眼下に広がる京都が生活の拠点に

平安遷都に際して、桓武天皇が京都を都にするとお決めになった場所と伝わる東山山頂。京都屈指の絶景スポットに佇むのが『青龍殿』です。国宝の青不動明王二童子像をお祀りする大護摩堂があり、その背後にある木造の大舞台から京都市内が一望できます。もともとは1913年、大正天皇の即位を記念して北野天満宮前に建てられた木造大建築「大日本武徳会京都支部武徳殿」でした。1947年の戦後からは柔道や剣術の技術を磨くため「平安道場」となり、1998年に閉鎖。2014年、歴史的文化遺産を後世に残すために、この地に移築再建され『青龍殿』と名付けられました。春風を纏う軽やかなファッションに身を包んだ近藤さん、まず堂内で手を合わせてから京都市内が見渡せる大舞台に向かいました。

「京都市内の景色が一気に広がり、本当に良いところですね。あそこの緑が植っているのが京都御苑で、手前に見える川は鴨川でしょうか。ここから見てもよくわかりますが、以前住んでいた東京と比べて、京都はギュッと文化や魅力が凝縮されている印象。自転車での移動がちょうど良い、大きすぎない街のサイズ感も気に入っています。とはいっても、10年ほど前までは仕事の前後に、どこかで寄り道することなんてほとんどなく、京都は仕事場であるという意識が強かった。新幹線を降りたら、撮影所がある太秦エリアに直行するだけ。だから京都人といえば、最初は怖く見えるけれど本当は心優しい(笑)映画制作陣のイメージでした」

そんな仕事場だった京都との距離が近づくきっかけとなった出演作が、池波正太郎氏の時代劇シリーズ『雲霧仁左衛門』でした。今年8月にシリーズ第6弾が放送予定、中井貴一さんが主演を務める人気シリーズです。

「撮影スケジュールに合わせて、京都に長期滞在することが増えたんです。三条商店街あたりに滞在したこともあるし、西洞院松原あたりに滞在したこともあります。その時から地元で買い物することを覚え、豆腐の美味しさや、扇形ソーセージの存在を知ったんですよね。東京にはない扇形ソーセージという美味しい食べ物があるよって、教えてくださったのは中井貴一さんでした」

自分だけのお気に入りを探して

境内を埋め尽くす満開の桜を見上げながら、直径約20メートル、高さ約3メートルの小高い丘のような「将軍塚」のそばへ。約1200年前、桓武天皇は奈良から京都の南にある長岡に都を移しますが、様々な災難が起こります。そこで、家臣の和気清麻呂が桓武天皇をこの東山の山頂へお連れし、三方を山に囲まれた盆地を見下ろしながら「この場所こそ、都にふさわしいですよ」と提案。甲冑を着た将軍の像をこの地に埋め、都の安泰を祈ったそうです。

「1200年もの間、都であり続けた京都には、今もこだわりをしっかり持っておられる方が多く、食文化に関しても独特だなぁと。京都の人は、鱧、鴨、山椒がお好きで、ほんとよく食べますよね。後は、パン屋さんも多いし、コーヒーもお好きですね。美味しいお店、桜の名所、心を整えてくれるお寺…長期滞在時代の僕に、いろんな京都情報を教えてくださったのは、よく行くお店のカウンターに立つ京都人のご主人でした」

京都ツウで有名な角野卓造さんとお店を巡る、KBS京都テレビ『おやじ京都呑み』に出演するなど、京都での活動も多方面に広がり、ご自身の中にも情報の引き出しが増える一方の近藤さん。『青龍殿』以外で、どこかお気に入りの桜はありますか?と聞くと、哲学の道の桜のトンネル、大石神社の大石桜、本満寺のしだれ桜など、素敵な名所をお教えくださいました。


近藤芳正(こんどうよしまさ)
1961年、愛知県出身。 1976年の『中学生日記』出演をきっかけに、1979年に 劇団青年座研究所に入所。映画『ラヂオの時間』、 『THE 有頂天ホテル』、NHK大河ドラマ『真田丸』、 舞台『笑の大学』など、三谷幸喜氏の作品に数多く出演。 その他の主な出演作品に、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』『魔法のリノベ』『おやじキャンプ飯』、NHK連続テレビ小説『なつぞら』・『カムカムエヴリバディ』など。 現在は“ラコンチャン”として舞台制作やプロデュース作品も 手掛け、時には作・演出にも関わる、エンターテインメント界のオールラウンダー。

天台宗青蓮院門跡 将軍塚青龍殿    詳細はこちら

JEWELRY / KAGAYOI KAGURUMA PINS L & HANAMIDORIUMIGAME PINS
PHOTO / TAKAHIRO TAKAMI
STAYLIST / TEPPEI HAMANOUE (rainmaker)
TEXT / RIHO TATEHARA