蒔絵と「かがよい」の響き合い 室瀬和美 MUROSE KAZUMI × kagayoi 蒔絵と「かがよい」の響き合い 室瀬和美 MUROSE KAZUMI × kagayoi

室瀬和美×kagayoi

日本の伝統工芸である漆の代表的な装飾技法、蒔絵。
その重要無形文化財保持者(人間国宝)である漆芸家 室瀬和美氏と、
「かがよい」とのコラボレーションによるジュエリーが誕生しました。
平安時代から愛され続けてきた蒔絵の美しさを、贅沢にも装いに加えて。

漆の世界

漆と蒔絵の伝統

漆芸は日本では縄文時代から使われてきた、アジアの伝統技術です。漆の木はモンスーン気候にしか生育しないため、漆の技術もアジアでのみ発展してきました。
多くの装飾技法がありますが、なかでも蒔絵は日本独自の技法で、ミクロン単位での細やかな工程を重ねることで、金一色でも奥行きがある美しい世界が完成します。
漆芸では、樹液である漆、漆を塗る素地となる木をはじめ、材料・道具すべて自然の素材でつくられます。自然と対話し、時間、湿度、季節など自然現象を生かして完成させるからこそ、時を超えて残っていくのです。

日本の伝統工芸を
海外へ

クラフトとは異なる
「Kôgei」だからこそ

日本の「工芸」は、海外のクラフトとは異なり、日常使う物から美術品まで美が宿ります。そしてその美には技術に加えて相手を慮る気持ちが込められています。美しいという自己主張ばかりではなく、相手があって物が生きるという気持ち。箱であれば、開けた時に使いやすいか等、使う人の気持ちも大切にします。
相手があって、装着されて初めて完成する点では、ジュエリーも同じ部分があります。着けた時にどう見えるのが美しいのか、どうすれば着けやすいのか、常に装着した瞬間を想像しながら作ります。

蒔絵の美しさは、まばゆく華やかな輝きがありながらも、宝石の輝きとはまた異なる、日本人の心に響く、心に語りかけるような気品があるところです。その美しさと相乗効果が生まれるように、蒔絵を現代の洋服に合わせて装着できるジュエリーにしました。
蒔絵の美しさと技術、そして細部までこだわったデザインのジュエリーの技術、そのどちらにも、装着する人を慮る気持ちが込められています。日本の心が表れた漆のジュエリーを、海外のみなさまにもご堪能いただきたいと願っています。

蒔絵とジュエリーが
ひとつに

五行(木・火・土・金・水)
というテーマに込めた願い

日本漆芸を代表する蒔絵技法の基本は、漆で絵を描きその漆が固まらないうちに金粉を蒔きつけて文様を表す、というものです。この基本作業を様々に組み合わせることで、平面でありながら奥行きのある仕上がりになります。漆という素材が、魔法のように金の別の魅力を引き出しているのです。立体的なジュエリーと蒔絵、この2つの素晴らしいメタルワークがひとつになったのが、今回のコラボレーションです。
デザインテーマは五行(木・火・土・金・水)。それぞれの思想を私なりに解釈して表現しました。身につけた人の健康と美を願う気持ちが、強く込められています。

KAZE

「風」(=木)
春の風と光を受け、満開に咲き誇る桜の木々の間を飛び交う鳥を螺鈿で表し、成長・発展を願って。

HANA

「華」(=火)
中心部から幾重にも開く花びらの外に広がる勢いと、夏の風物詩である花火のダブルイメージで、エネルギーを表現しています。

YOH

「陽」(=土)
万物にエネルギーを与える太陽の光を受け、
大地から生まれる生命の息吹を、幾何学文様で表現しました。

KI

「輝」(=金)
土中で光り輝く鉱物は、堅固で確実なもの。永遠の輝きを放つ金の斧をイメージし、長寿や富を意味する真珠の穏やかな輝きも添えて。

EI

「映」(=水)
古代、牛車の車輪を賀茂川の水の流れに浸けた風習をデザイン。
水は「命の根源」「新生」を表しています。

室瀬和美氏 プロフィール

漆芸家 重要無形文化財保持者(蒔絵)

1950年東京に生まれる
1973年東京芸術大学 安宅賞受賞
1974年東京芸術大学美術学部工芸科 漆芸専攻卒業
1976年東京芸術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了(修了制作大学買い上げ)
以後、国内外の展覧会出品、受賞歴多数。
2008年重要無形文化財保持者(蒔絵)認定
紫綬褒章受章
現在公益社団法人 日本工芸会 副理事長